吉永公認会計士・税理士事務所
大阪市北区豊崎3-20-9 三栄ビル8階801A号室

今日のワンポイント
One Point

HOME > 今日のワンポイント > DES(デッド・エクイティ・スワップ)が行われた場合の債権の時価評価


トピックス


トピックス

DES(デッド・エクイティ・スワップ)が行われた場合の債権の時価評価

2010年2月26日

25日に記載しましたデッド・エクイティ・スワップに関することの続きです。

①今までデッド・エクイティ。スワップは使いにくい面がありました。                                                 DES(デッドエ・クイティ・スワップ)の際の会計処理は、債権者側は、自己が有する債権を時価評価して、投資有価証券に振り替え、時価と取得価額の差額は譲渡損とします。債務者側は、時価評価額を資本金等に振り替え、時価評価額と簿価との差額を債務免除益とします。この時に問題となっていたのが、時価をどのように評価するのか基準が明確でないためにDESの活用に支障がある面がありましたのも事実です。平成22年2月15日付で国税庁より時価の評価をどのようにするかの取り扱いがでましたので、今後使いやすくなることが期待できます。その具体的内容ですが、

①債務者の時価評価                                                                            以下、国税庁の考え方を原文で記載します。                                                            「DESが行われる場合においても、債務免除額が決定される場合と同様に、この合理的に見積もられた回収可能額に基づいて実質的な債務免除額が決定されることとなります。すなわち、合理的な再建計画においては、債権のうちこの回収可能額を超える部分、換言すれば回収不能と見込まれる部分についてはDESの対価である株式の交付の対象とされず、この回収可能額に相当する部分についてのみこの株式の交付の対象とされるということになります。そこで、DESの対象となる債権の時価については、この合理的に見積もられた回収可能額に基づいて評価することが妥当であると考えます。
この場合、この債権金額(額面)と債権の時価との差額について、債務者は債務消滅益を計上することとなります。
なお、債権者が有する債権のうちにDESの対象とされなかった債権が存在する場合、DESの対象となる債権が債務者の株式に変わるため、DESの対象とされなかった債権は、DESの対象となった債権(株式)に優先して回収されることになります。
このため、例えば、債権者の有する1,000(簿価)の債権について、その合理的な回収可能額が900と見込まれる場合において、その債権のうち800をDESの対象としない債権とし、200をDESの対象としたときは、DESの対象となる債権(200)の評価額は、DESの対象とされなかった債権(800)を含んだ回収可能額(900)から、DESの対象とされなかった債権の債権金額(800)を控除した金額(100)となります(この場合、債務消滅益100を計上することとなります。)。   すなわち、債務者の合理的な再建計画に基づき算定された回収可能額が時価となり、これを超過するものは、債務者にとって債務免除益となります。                                                                                                                                                ②債権者の時価評価                                                                               以下、国税庁の考え方を原文で記載します。                                                              「債権者が保有する金銭以外の資産である債権を現物出資し、その対価として株式の交付を受けるものであるため、現物出資債権の時価(現物出資により給付をした金銭以外の資産の価額の合計額)が、交付を受ける株式の取得価額となります。
この場合における現物出資債権の時価は、債務者及び債権者の双方が合理的な再建計画に合意する立場にあるため、合意した回収可能額に基づき評価されることが合理的であり、かつ、債務者における処理とも整合的であります。このため、DESを行う債権者から見た現物出資債権の評価額についても、上記①に基づき算定された被現物出資債権の評価額と一致させることが合理的である考えます。」 ①でもとめた価額と同じ金額が時価となる、この時価と債権価額との差額が譲渡損となります。

税務と会計は異なることが少なくないのですが、今回は会計理論に合致していると感じています。   

経営支援の実績のある大阪の吉永公認会計士・税理士事務所まで

税理士・公認会計士による顧問サービス