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資本と利益の違い、税金への影響(法人税、事業税)

2010年8月2日

資本と利益の区別の概念は会計と税務の両方にあり、そして、その考え方は両者で異なる部分があります。その両者の違いについて、「欠損填補(損失の処理)」と「利益の資本組入れ」という2つの手続において異なります。

欠損填補とは、欠損(利益剰余金のマイナス部分)について、その他資本剰余金をその他利益剰余金に振り替えることにより穴埋めすることをいいます。会社法上及び会計上、資本剰余金と利益剰余金を混同することは基本的に禁じられていますが、欠損填補の場合には例外とされています。その他資本剰余金は、資本金や資本準備金から振り替えることにより増加させることができます。資本金をもって欠損填補に充てる場合には、資本金がその他資本剰余金に振り替えられ、そして、その他資本剰余金からその他利益剰余金に振り替えられることとなります。法人税法上は、資本金が減少してその他資本剰余金に振り替わった場合、株主からの払込資本である資本金等の額の内部の変動に過ぎず、資本金等の額そのものに影響はありません。また、その他資本剰余金からその他利益剰余金に振り替えられた場合には、欠損填補の目的であったとしても、資本(資本金等の額)と利益(利益積立金額)の混同は許されません。したがって、資本金等の額は減少せず、法人税法上の欠損(利益積立金額のマイナス)もそのまま存在し続けることとなります。それゆえ、法人税法上の資本金等の額と会社法上の資本金及び資本剰余金の額が異なってくることになります。

利益の資本組入れとは、利益準備金やその他利益剰余金を資本金に振り替えて資本金を増加させることをいいます。利益の資本組入れは、会社法成立前の旧商法時代には認められていたものですが、会社法の成立に合わせていったん禁止されていました。しかし、金銭出資等を行うことなく資本金を増加させたいというニーズがあったことなどにより、現在では再び認められるようになりました。

法人税法上、利益の資本組入れが行われた場合、株主にみなし配当課税が行われていた時代がありましたが、現在は資本金に組入れられた利益剰余金相当額を資本金等の額から減少させることとなっており、結果として利益の資本組入れは行われなかった状態となります。このように、欠損填補や利益の資本組入れは、法人税法にはその影響が及ばないことになりますが、法人税法以外の税法では、欠損填補や利益の資本組入れが影響を及ぼすことがあります。例えば、事業税(外形標準課税)における資本割です。資本割は、基本的に法人税法における資本金等の額を課税標準として課税されます。ただし、資本金や資本準備金を減少させて欠損填補を行った場合の欠損填補額は、資本金等の額から減算することとなっており、また、利益の資本組入れを行った場合の資本組入額は、資本金等の額に加算することとなっているので注意が必要です。

皆様いかがですか、決算書の金額と法人税法の申告書の金額が一致しないことになります。決算書の金額と法人税法上の金額がこれでいいのだろうかとの疑問点、不明点があればお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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