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会社が役員から借入金をしている場合の検討事項

2010年9月30日

会社が役員から多額の借入れをしている(=オーナー側では貸している)場合、次の問題点があげられます。① 金融機関などの第三者から見ると、オーナー経営者から借入れがある会社は資金繰りに問題があるように見えてしまいます。② オーナー経営者から見ると、たとえ返済予定がなくても貸付金として相続財産に含まれて相続税が計算されます

それでは会社の財務状況を良くし、オーナーの相続財産の評価額を下げるにはどうすればよいのでしょうか?この問題を解決するための方法として、会社の状態により次の2つの方法が考えられます。① DES(デット・エクイティ・スワップ)を活用するDESとは、オーナーの生前に会社が負債(=借入金)を返済しないで、資本(=株式)に交換することです(つまり債務の株式化)。旧商法時代、DESを実行する際は原則として裁判所が選任した検査役の調査が必要であり、調査が不要のケースであっても税理士等の証明が必要であるなど手続きが煩雑でした。しかし、平成18年の会社法施行により従来よりも要件が簡単になりました。DESを行うことによって借入金が株式に振り替わるため、会社側では自己資本比率が向上します。また、オーナーの貸付金の相続税評価額は債権そのままの金額であるのに対し、DESによって取得した株式の評価は通常は債権額よりも低く評価されることが多いので、相続財産の評価引き下げにも有効な手段といえます。しかし、ここでひとつ問題が発生します。

平成18年度税制改正により、税務上は負債を資本に交換する際の金額は負債の額面金額でなく時価で行われます。これにより発生する負債の額面金額と増加する資本の額の差額は、税務上「債務免除益」として認識されます。この債務免除益は、通常の利益と同じく法人税の課税対象となります。法人税法上の赤字(繰越欠損金)の金額の範囲を超えてしまいますと法人税が発生することになります。② オーナーが会社に対して債権放棄する債権放棄とは文字通り債権を放棄することです。会社側からみるとその金額だけ借入金返済が不要になる、つまり得したことになり、債務免除益が発生する結果、やはり法人税の課税が問題となります。

なお、①②共に同族会社において債務免除を行うことで株価が上がってしまうと、債務の免除等をした者から株主へ贈与があったものとみなされます(いわゆる「みなし贈与」の問題)。どちらの方法も、会社に多額の赤字があれば実行しやすい手段ですが、判断を間違えますと余計な法人税等や贈与税を負担することになりかねません。実行前には専門家にご相談ください。

また、疑問点、具体的にどのようにすればよいのかということについては、お気軽に当事務所まで、問い合わせください。

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