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税務調査・・・事前通知がない無予告調査の事例

2023年6月12日

国税通則法では、税務調査を行う際には、納税義務者に対し、事前通知を行うように定められています。
納税義務者としては、税務調査の通知があった場合には、その調査に対して準備を行うものですが、悪質な場合には納税義務者にとって不利となる証拠書類を隠滅してしまうようなことも考えられますので、事前の情報や過去の調査内容から、証拠隠滅のおそれがあるもの場合には、事前の通知は必要ないものとされています。

では、具体的にどのような場合が該当するか一例を紹介します。(訴訟になったものです。)
納税者は法人であるにもかかわらず、取引先からの売上代金の一部を個人の代表者名義の預金口座で受け入れ、確定申告書の「現預金の内訳書」には、当該預金口座の記載がありませんでした。
一般に、設立から短期間の間のことならともかくも、相当期間経過した法人においては、代表者個人名義の預金口座で受け入れなければいけない事情はないでしょう。
また、代表者個人からの借入金残高が増加しています。
この増加額は、代表者個人の確定申告所得(収入)以上のものの増加でした。
税務当局は、代表者の所得(収入)を超える所得が、法人の借入として移動しているということは、法人の資金の流れとして、売上代金の一部が申告されずに、個人口座に入金され、納税者に代表者からの借入として、納税者に資金還流されていると合理的に推測できます。
税務当局は、売上除外、除外売上代金の還流の有無を把握するには、帳簿書類等の提出を受けて詳細に検討する必要がありますが、中小企業では、帳簿書類の改ざん防ぐ内部統制が不十分であることが多くあることから、改ざん、隠滅、偽造することが推認されるとして、無予告調査は違法でないとされました。

法人取引を個人口座でおこない、「現預金の内訳書」に記載しない、代表者からの借入金が増加傾向になっていないか確認することが望まれます。

皆様、いかがでしょうか。疑問点、具体的にどのようになるか等のご質問については、お気軽に当事務所までお問い合わせください。