吉永公認会計士・税理士事務所
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同族会社への貸付金放棄は相続財産となるのか?

2022年4月11日

債権者が一方的にその権利を放棄した場合には、債務者はその債務の弁済を免れることになるから、税務上は債務の免除益が債務者に帰属し、その利益に対して個人から個人が受ける場合には贈与税、法人から受ける場合は所得税、法人が受ける場合に法人税の課税対象となります。
株主である債権者が同族会社に対する貸付金債権を放棄した行為は、同族会社がそのものが行う法律行為ではなく、債権者の単独行為であり、同族会社の行為計算否認規定は適用されませんので、貸付金放棄額が相続財産とみなされることはありません。

この債務免除により、債務者である法人は、その債務免除による利益は、益金(利益)に計上され法人税の課税を受けることになります。
注意点は、その放棄による債務免除益が、同族株主の持分を増加させる場合には、債権放棄をした株主から債権放棄をしなかった株主に対して持分増加による利益を贈与したとみなされ贈与税が発生する可能性があります
被相続人が同族会社に対する貸付金を放棄し、消滅しても、相続財産に残らないことになります。
この債権放棄を同族会社の行為計算の否認規定を適用して相続財産として課税されることはないでしょう。
(同族会社以外の第三者が行う単独行為は、同族会社の行為計算の委任規定の対処にならないことは、判例ででています。)

皆様、いかがでしょうか。疑問点、具体的にどのようになるか等のご質問については、お気軽に当事務所までお問い合わせください。